春の天ぷらの定番、ふきのとう。
2月ごろに顔を出し始めることもある山菜のトップバッターで、秋田では”ばっけ”と呼ばれ、県の花として親しまれています。
凍てつくような寒さが緩み初め、日中の暖かい日差しで少し溶けた雪が、夜の冷え込みでジャリジャリに固まるようになると、もうすぐ蕗の薹が顔を出す合図。
やわらかい日差しと、まだ冷たい風を頬に受けて、うっすら残る雪を踏みながら山の中へ。
林道から少し横道に入って、少し開けた野原を探しながら歩くと、真っ白だった世界に、淡く溶けてしまいそうな柔らかい緑がぽつぽつと色付き始めていました。
この、葉が開く前のふきのとうが一番の食べごろ。一つ一つ丁寧に、根元から手でもぎ取っていきます。
みずみずしくて、思わずそのままかじりついてしまいそうですが、アクがあるのでぐっとこらえます。
あそこにも、あそこにも、と夢中で摘んでいるうちにカゴが一杯に。
宝探しのように採っているだけで満足してしまいますが、調理して食べるまでが山菜採り。どうやって食べようかなと妄想しながら帰ります。
よし、天ぷらにしよう。そう思って油に入れた瞬間、葉がわあっと広がって、淡かった緑がパッと鮮やかに。
揚げたてをつまむと、サクッ、じゅわ。
ミルフィーユのような歯応えと、口いっぱいに広がるほんのりとした苦味がたまりません。ひとつ、またひとつ、と頬張ります。
天ぷらを十分楽しんだら、残りは保存のきくものに。
湯がいて刻んだふきのとうを、玉ねぎドレッシングに加えれば、いつものサラダがぐっとお洒落になる”ばっけドレッシング”に、味噌に混ぜれば、白米の良きお供、”ばっけ味噌”の出来上がりです。
ばっけ味噌は、たくさん作って冷凍しておき、少しずつ大切に食べながら、来年の収穫をまた待ち望みます。
見つけやすさ度
★★★★★
家の裏に生えてることも!湿り気のある道端や川辺、野原、林縁に生息します。
見分けやすさ度
★★★☆☆
毒草であるハシリドコロやフクジュソウの芽とよく似ています。
下処理の手間
★★☆☆☆
天ぷらの時は生で、その他の時は熱湯に塩少々を入れてさっと茹で、水にさらしてアク抜きをします。
味のクセ
★★★★☆
口の中に広がる春らしい苦味が特徴的です。
春が来た!と感じる度
★★★★★★★★★★
時期
2月下旬〜4月上旬
秋田での呼ばれ方
ばっけ・ばっきゃ
栄養価
カリウム・葉酸・ビタミンK・食物繊維・ビタミンB1などを多く含んでいます。