旬の竹と書いて筍(たけのこ)。
その字のとおり、時期を逃すとすぐに伸びて、あっという間に硬い竹へと成長します。
筍といえば、大きく太い孟宗竹が有名ですが、秋田では、山の中に育つ細く小柄な筍のことを指すのが一般的。
姫竹とも呼ばれるこの筍は、根元が土から曲がって生える姿から、根曲がり竹と呼ばれています。
毎年お馴染みのはずの地元の方でも、旬の時期に大量に収穫して、缶詰にしてしまうほど人気の高い山菜で、その美味しさと栄養価の高さには、熊も太鼓判を押しています。
林道を歩いていても、細い竹はたくさん見つかるのですが、その多くは笹竹という別のもの。
根曲がり竹は、標高の高い山の奥でしか見つかりません。
山道から外れて藪の中を奥へ奥へと入っていく必要があり、危険も伴う上級者向けの山菜と言えるでしょう。
藪の中は迷いやすく視界も悪いため、熊との遭遇に特に気をつけなければいけません。
不安と期待を胸に、かき分けかき分け入っていき、根曲がりだけがわっと生えているポイントを見つけた時は、もう泣いて喜びます。
生でも美味しい、調理しても美味しい、水煮にしても美味しい。
美味しいことが確定していて、収穫の時から既に美味しい根曲がりだけ。
採れたてに生でかじりつくのが筍採りの醍醐味です。
大きいものほど良いと思われがちですが、一番美味しいのは、土から少し顔を出しているくらいの、短く太く、ピンク色のもの。
今年もそんなたけのこに出逢いに、おじいちゃんたちと山に入ります。
見つけやすさ度
★☆☆☆☆
ブナやミズナラ林の林床に生えるチシマザサの藪の中を探します。美味しいものを見つけるためには奥へと進む必要があります。
見分けやすさ度
★★★★★
見つけ出すのは一苦労ですが、見分けること自体は簡単です。土に隠れている部分が多く、短く、太く、根元がピンク色のものを選びましょう。
下処理の手間
★★☆☆☆
アクはほとんどないためアク抜きは必要ありません。気になる場合は、皮ごと米のとぎ汁で茹でて水にさらし、皮を剥きます。皮は、包丁で切り込みを入れ、切り残した部分を下に引っ張って剥ぎ取った後、剥ぎ口から残りの皮を開くようにして取り除くと簡単にむけます。
味のクセ
★★☆☆☆
春特有の苦味が感じられる時もありますが、クセは強くなく、爽やかな筍の味を楽しめます。
味への信頼度
★★★★★★★★★★
時期
5〜6月
秋田での呼ばれ方
根曲がり竹
栄養価
ビタミンB・C・K、食物繊維、カルシウム、カリウムなどが豊富